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 大学入試改革の一環で導入された、高校生の校内外活動の情報を電子化するシステムを巡り、萩生田光一文部科学相は22日、運営する一般社団法人「教育情報管理機構」の運営許可を取り消す方針を明らかにした。利用する大学が少なく赤字が出ているため、事業継続が困難と判断した。

 システムは「ジャパンeポートフォリオ」(JeP)。文科省が、受験生の自ら学ぼうとする「主体性」を、総合型選抜(旧AO入試)などだけでなく、一般選抜の評価にも採り入れてもらおうと、大学などに委託して開発した。受験生がスマートフォンやパソコンで日々の学習や部活動などの記録を入力し、志望先の大学に提供する仕組みだ。昨年4月から、金沢大学の山崎光悦学長ら国公私立大のトップが理事を務める機構が運営してきた。

 文科省によると、全国の高校生約17万人が利用してきたが、通信教育大手ベネッセコーポレーションのIDを取得しないと利用できないなど個人情報管理への不安もあり、伸び悩んだ。JePを昨年度実施の入試に利用したのは12大学で、現在参加する大学も27にとどまる。大学の会費を主な収入源とする機構の2019年度決算書では、経常利益は約5300万円の赤字だった。今月中旬にあった有識者による審査で、財務状況を不安視する意見が相次いだ。

 こうした情勢をふまえ、萩生田氏は22日の衆院文部科学委員会の閉会中審査で「機構の財務状況を不安視する意見が多く、許可を取り消す方向。利用者の登録データの取り扱いなど高校関係者らと調整を行っている」と述べた。「主体性評価」は大学入試改革の三本柱の一つだが、大学入学共通テストでの活用が見送られた英語民間試験、国語・数学の記述式問題に続き、混乱が露呈した。文科省によると、大学入試で主体性評価を求めることに変わりはない。

 文科省は近く許可を取り消し、JePに登録された利用者の記録は返却される。受験生は今後、自身で記録を管理し、大学に提出することになるという。(伊藤和行)