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 新型コロナウイルス対策で楽団員が間隔を空けて座ったらオーケストラはどうなる? 全国各地で公演する管弦楽団「シンフォニエッタ静岡」が11日、焼津文化会館大ホールの舞台で実験をした。

 オーケストラは80人編成。編成を広げるために、まず客席側を除く3方の壁面とセットになっている天井の反響板を外した。前後左右に1・8メートルの距離を空けて椅子を並べると、ピアノを含め、左右の端、計10人程度が客席から見えなくなった。オーボエとフルートが席について音を出してみたが、反響板がないため、音が響かず、客席に届かなかったという。

 さらに深刻なのは隣席の奏者の「気配」が感じられないことだ。たとえば第1バイオリンは通常なら6メートル四方に収まるが、コロナ対策をとった舞台では、10メートル四方に広がる。オーケストラ全体では端から端まで25メートルにもなる。指揮者の中原朋哉さんは「それだけ離れれば、同じ楽器の音に『時差』が生じる。演奏がまとまらない」。

 52人編成の吹奏楽バージョンもやってみた。やはりひな壇の上のトランペット、トロンボーンの端が見えなくなった。

 この日は高校の吹奏楽部顧問らが見学に訪れた。「(楽団が)広がる配置のイメージがつかめた」などの意見があった。

 シンフォニエッタ静岡は9月27日に実験した焼津文化会館大ホールでコンサートを予定している。実験の結果を受け、弦楽器の奏者はマスクを付けるなど、取れる対応を取った上で、通常の配置で演奏する方針を固めた。

 楽団長の植田明美さんは「プロ、アマチュア、学生、それぞれの立場や目的によって、どのぐらいの配置で折り合いをつけるのかは異なる。必要な感染症対策を講じつつ、できるだけ通常の配置で質のよい演奏を届けたい」と話した。(阿久沢悦子)