GPS計測とスマホアプリを活用 盛況の「オンラインマラソン」は定着するか | 朝日新聞デジタル&M(アンド・エム)
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GPS計測とスマホアプリを活用 盛況の「オンラインマラソン」は定着するか

年内の大型マラソン大会開催がほぼ絶望的となる中、GPS計測を使った「オンラインマラソン」が盛況だ。本連載でも6月初旬に「第1回全日本インターネットマラソン選手権」の参加体験記を書いたが、ネットで検索すると同種の大会が続々誕生していることがわかる。

参加者がGPS計測できるスマートフォンのアプリやランニングウォッチを使って走行距離とタイムを計り、データを大会主催者に送って順位が決まる仕組みだ。主催者側が定める期間に指定された距離(フルマラソン、ハーフマラソン、○kmなど)を走る。コースは参加者が自宅周辺などで自由に決められるというのがほとんどなので、全国どこからでも参加できる。Zoom飲み会のマラソン版といったところだろう。

全日本インターネットマラソンのような独立系以外で最近よく見かけるのが、リアル大会が中止になったことによる代替イベントとしてのオンラインマラソンである。筆者の知る限り、そのはしりは「名古屋ウィメンズマラソン2020オンライン」だ。東京オリンピックの代表選考レースでもあった今年の名古屋ウィメンズマラソンは、3月8日にエリート選手のみで行われた。参加中止となった約2万4千人の一般ランナーのために実施されたのが、“オンライン”だった。

「名古屋ウィメンズマラソン」が開催された3月8日、名古屋市北区の名城公園でオンラインマラソンに挑戦するランナー=土井良典撮影

「名古屋ウィメンズマラソン」が開催された3月8日、名古屋市北区の名城公園でオンラインマラソンに挑戦するランナー=土井良典撮影

3月8日から5月31日までの間にスマートフォンアプリなどで計測しながら42.195kmを走り切った(分割も可)参加者には、大会オリジナルペンダントやオンライン完走証が発行された。もともと参加中止になった一般ランナーのための“救済措置”だったこの「名古屋ウィメンズ方式」が、他の中止大会にも取り入れられ、メジャー化しそうな気配なのだ。

例えば、9月27日に開催予定だった「信州駒ヶ根ハーフマラソン」は、中止になって「リモート信州駒ヶ根チャリティーマラソン」に装いを変えた。走る場所や距離は自由だが、参加者は無料のランニングアプリ「TATTA」をスマホにダウンロードしなければならない。参加費は3千円で、このうち500円がチャリティーとして地元市のコロナ対策費にあてられる。返礼品付きのふるさと納税とセットで3万円でエントリーすることもできるという。開催期間は9月26日~10月11日で、現在参加者募集中だ。

「オホーツク網走マラソン」の代替イベントである「オホーツク網走マラソン on the web by TATTA RUN」は、参加料1万5千円でオホーツクで獲(と)れた毛ガニや網走和牛がもらえるコースがあったり、特産品や大会記念グッズがもらえる抽選会があったりするが、残念ながらエントリーは締め切られていた。ただ、参加料と引き換えに地元特産品プレゼントというのは、オンラインマラソンの集客を考える上でとても参考になると思う。

東日本大震災の復興イベントとして始まった「東北・みやぎ復興マラソン」も今年はオンラインでの開催となる。参加料2500円で、参加賞として被災地関連グッズがもらえる。期間は3回に分けて行われ、現在第1回(8月1日~15日)のエントリーが受け付け中(7月24日まで)だ。

その他、ざっと調べただけでも「新潟シティマラソンwebRUN」(10月1日~11月15日)、「札幌マラソン2020 by TATTA」(10月7日~13日)、「袋井クラウンメロンマラソンリモートチャレンジ」(12月中旬)などが出てきた。

オンラインマラソンのアプリの画面=3月8日、名古屋市瑞穂区、土井良典撮影

オンラインマラソンのアプリの画面=3月8日、名古屋市瑞穂区、土井良典撮影

ただちょっと考えればわかることだが、オンラインマラソンの場合、新潟、札幌、袋井などとそれぞれ“開催地名”がついていながら、参加者が実際に走るのは自宅周辺だったりする(笑)。走るコースを自由に選べるというオンラインの“強み”は、いつもと代わりばえしない練習コースを走るという“弱み”になりかねない。ここがバーチャルの限界であり、参加する側にも大会ごとに走る場所を変えたり、想像力をたくましくするなど気分を盛り上げる工夫が必要になってくる。

オンラインマラソンでありながら走る場所が指定されているという珍しい大会もある。前橋市で行われる「あかぎ大沼バーチャルトライアル2020」(8月1日~31日)がそれだ。期間中の好きな時間に赤城山大沼湖畔の周回コース(1周5km)を走るというもの。湖畔は標高約1300mで、真夏でも涼しく走れるという。スマートフォンに会員制交流サイト(SNS)機能を持つアスリート向けのアプリ「STRAVA」をダウンロードしてエントリーする。参加費は無料だ。

同じオンラインマラソンでも運営方法はさまざまだ。試行錯誤を繰り返しながら、ウィズコロナの新しいランニングイベントのあり方を提示できるかどうか。ひと頃はずいぶん流行(はや)ったZoom飲み会も、最近はみんな飽きたのか、ほとんどお声がかからなくなった(みなさん、まだやってますか?)。オンラインマラソンが定着するかどうかも、しばらく注目したいところである。

さて、最後に話はかわって、日本臨床スポーツ医学会と日本臨床運動療法学会が「屋外運動時のマスクや口鼻を覆うものの着用は、基本的には推奨いたしません」という共同声明を発表したというニュースをお届けしよう。もちろん、これは新型コロナウイルス感染防止対策を否定するものではなく、マスクをすることよりも、可能な限り少人数で、ソーシャルディスタンスを保つことの方が重要であると説いている。かねて筆者が主張していたことでもある(笑)。

詳しくは下記をご覧いただきたい。
http://www.kmuhsc.net/clext/pdf/kyoudouseimei_ippann.pdf

    ◇

リモート信州駒ヶ根チャリティーマラソン
http://koma-marathon.com

オホーツク網走マラソン on the web by TATTA RUN
https://www.abashiri-marathon.jp/tatta-run/

東北・みやぎオンライン復興マラソン
https://fukko-marathon.jp/online/

あかぎ大沼バーチャルトライアル2020
https://www.city.maebashi.gunma.jp/bunka_sports_kanko/2/1/23513.html

(トップ写真:getty images)

PROFILE

山口一臣

1961年東京生まれ。ゴルフダイジェスト社を経て89年に朝日新聞社入社。週刊誌歴3誌27年。2005年11月から11年3月まで『週刊朝日』編集長。この間、テレビやラジオのコメンテーターなども務める。16年11月30日に朝日新聞社を退社。株式会社POWER NEWSを設立し、代表取締役。2010年のJALホノルルマラソン以来、フルマラソン20回完走! 自己ベストは3時間41分19秒(ネット)。

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